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2006年8月 2日 (水)

060: ゲド戦記

観終えた後の、あたしのこのストレスを、どうしたらいいのだろう?「父さえいなければ、生きられると思った。」って、単に期待を煽っただけのコピーだった。

『ゲド戦記』の最終興行収益はどうなるのかな? 初監督作品としては、悪くない出来なんだろうけど、皆にここまで酷評されちゃうのは、ジブリ・ブランドのハードルが高いから。そのプレッシャーがあるから、最初に監督候補だった人は降りちゃったんだろうし、そのプレッシャーがあっても、吾郎監督はチャレンジしたんだから、結果を受け止めるしかないよね。

Gedo_01_1

監督:  宮崎吾朗   
プロデューサー:  鈴木敏夫   
原作:  アーシュラ・K・ル=グウィン  『ゲド戦記』シリーズ(岩波書店刊) 
原案:  宮崎駿  『シュナの旅』(徳間書店刊) 
脚本:  宮崎吾朗   丹羽圭子   
制作:  スタジオジブリ 

主題歌:  手嶌葵  『時の歌』 
挿入歌:  手嶌葵  『テルーの唄』   

声の出演: 
岡田准一/アレン  手嶌葵/テルー  田中裕子/クモ 
小林薫/国王  夏川結衣/王妃   香川照之/ウサギ 
内藤剛志/ハジア売り  倍賞美津子/女主人  風吹ジュン/テナー 
菅原文太/ゲド 

■■■さくら 50点    劇場鑑賞(8/1 ファーストデイ)

原作が世界三大ファンタジーのひとつで、宮崎アニメの原点だ とか、宮崎駿監督が、息子の宮崎吾郎が 監督するのにズット反対してたっていう親子関係 とか、スゴイ声の持ち主だという新人・手島嶌葵が唄ったり、ヒロインの声やったり・・・と、とっても話題 になってる『ゲド戦記』。でも、試写も終わり、先週土曜日には全国公開もされ、ネットや雑誌では酷評が目立っている。

「ストーリーがよく判らない」「ジブリらしいワクワク感がない」って感想が多かったけど、あまり先入観を持たず、ニュートラルな状態で観ようって思った。吾郎監督が、アニメ初にもかかわらず監督で、その上長編だから無理だなんて、そんなの観てみないと判らないもんね。

『紅の豚』であたしの好きなシーンがある。「あたしが若い女で、経験が無いからまかせられないの?飛行艇造りに必要なのは何?経験?」って聞くフィオ・ピッコロに、紅の豚ポルコ・ロッソは答えて曰く「いやインスピレーションだ!」

で、ですね、観終えました。   ・・・・・成る程ね~。言いたくもなるわな~。先入観無しで観ようと思ったけど、無理だったみたい。やっぱりジブリに対する期待感が、あたしの脚を劇場に運ばせたんだからね。

世界観も魅力不十分だし、キャラクターも際立っていないし、ストーリーもあってないような感じだし、正直、ジブリの社訓は“子 供のために、優良で高品質なアニメーションを提供すること”だそうだけど、小学生や中学生なんかの子供には、無理だろうなって思った。設定が、なんていう か痛いだけなのよね。突然キレて父親を殺すってのは、その理由説明が全然なくて、影に象徴されるアレンの不安が、あまりにも漠然としちゃって、フォーカス がボケちゃって、何一つ伝わってこない。表現されないって事は、アレンの持つ不安感ってのは、今の時代も持つ不安感で、説明無くして伝わるものという前提 に成り立っているのかな~?? アレンのような情けな系の男・・・は、嫌いじゃないっていうか、好きなほ うなんだけど、うぅ~~ん、受け入れられなかった。

“真の名”ってのは、『千と千尋の神隠し』でも使われていたし、この設定はファンタジーにはよくある。でも、この設定が効果的に使われていないのも、不満だ。あたしも、一生懸命物語に寄り添おうとするんだけど、無理なのよね。退屈すら感じちゃった。

アレンのキャラの特徴は「キレる」ってことだけど、その悲しさが伝わってこない。テルーのキャラの魅 力は「純粋な強さ」なんだけど、その強さの源が伝わってこない。アシタカの魅力は「大いなる知恵」なんだけど、その賢さが表現されていない。ウサギもテ ナーも、山の賑わい程度になっちゃってて残念。・・・・・唯一、クモだけは、その心の弱さや憎しみ、欲なんかが表現されていた。

ジブリ特有のスピード感や浮遊感が無かったのも残念。白い竜くらいかな?それがあったのは。美しい背景も、街の景色としてつながっていかないから、単なる静止画になちゃって、その場の瑞々しい臨場感を伝えるに至っていない。

観終えた後のこのストレス、なんとかならないかしら!! 

・・・・・じゃあ、もう二度と宮崎吾郎監督作品を観に行かないかっていうと、仮に二作品目があったとしたら、あと一度は観に行くと思う。(笑)

 Hayao_1       Goro 

上記は『ゲド戦記』のイメージボードを基にしたポスターなんだけど、左が宮崎駿監督、右が宮崎吾郎監督のものだ。同じ『ゲド戦記』でも、フォーカスの当て方が違うのが、一目でわかる。 宣伝チラシ

◇2007/03/28追記:3/27にTV放映された「NHKプロ フェッショナル 仕事の流儀」は宮崎駿監督の『崖の上のポニョ』制作準備の様子だった。“イメージボード”に対する宮崎駿監督の位置付けが見れて興味深 かった。それは“脳みそに釣り糸を垂らす作業”だと言っていた。あと、『ゲド戦記』試写会を中座した宮崎駿監督の「気持ちで映画を創っちゃいけない」とい う一言。それを鑑みると、上↑の二人のイメージボードの違いは、深い意味を持っている事がわかった。 NHKプロフェッショナル 映画を創る~宮崎駿・創作の秘話~ 内容覚書    

■■■

Biglobeで、実写版『ゲド~戦いのはじまり~』が無料視聴できる。

■■■

↓↓↓ インタビューが聞ける。

 *鈴木敏夫プロデューサーを迎え、スタジオジブリ、この夏の超大作「ゲド戦記」の魅力を徹底解剖!!

 *宮崎吾郎監督登場!この夏の超話題作「ゲド戦記」の裏側まで大特集!

■■■ 追記1

2006年08月04日 *part1 清水真砂子さん(翻訳者、児童文学者) 翻訳者・清水さんが、「ゲド戦記」にまつわる話、そして翻訳にまつわる話をしている。彼女が作者とジブリ側との橋渡しをした時のことが聞ける。

■■■ 追記2

原作者のアーシュラ・K・ル・グウィンが、8/14付の自身のHPで、コメントを公開している。まぁ・・・・酷評してる印象が強い。 部分抜粋・・・・・・・・

全体としては、エキサイティングです。ただしその興奮は暴力に支えられており、原作の精神に大きく背くものだと感じざるをえません。全体としては、思うに、一貫性に欠けています。

コメント原文 Gedo Senki    

ゲド戦記wiki ジブリ映画「ゲド戦記」に対する原作者のコメント全文(仮)

■■■ 追記3

「ゲド戦記」 最終興収76.5億円 2006年 邦画興行収入ベスト1!

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