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2007年7月 5日 (木)

178: ボルベール <帰郷>

20年なんてあっという間 人生の中の一瞬のできごと
そしてまた生きて 思い出にひたり その思い出にまた泣く

   

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原題     VOLVER

監督・脚本:ペドロ・アルモドバル 

キャスト:ペネロペ・クルス カルメン・マウラ ローラ・ドゥエナス フランカ・ポルティロ ヨハナ・コボ チュ・ランプレヴ

製作年度:2006年
製作国・地域:スペイン
上映時間:120分

失業中の夫と、15歳の娘を持つライムンダ(ペネロペ・クルス)は、気性は激しいが明るくたくましい女性。故郷のラ・マンチャに住む最愛の伯母が亡 くなり、美容師である姉のソーレ(ローラ・ドゥエニャス)の家を訪ねたライムンダは、そこで死んだ母の懐かしい匂いを感じる。姉ソーレの部屋に母の遺した 衣類があったからだ。懐かしくやるせない想いを抱え、自身が働くレストランで、昔、母に教わった歌「ボルベール(帰郷の意)」を歌うライムンダ。愛する人 の帰りを願うその歌に、生前の母と分かり合えなかった思い出が去来し、そして一瞬窓の外に亡くなったはずの母(カルメン・マウラ)の面影を見る…。

◆◆◆さくら76点 劇場鑑賞(レディースデイ TOHOシネマズ名古屋)

どこがどうとは言い難いんだけど、全体としてとっても好きな雰囲気だったし、くすっと笑いを誘うシーンがあったのもよかった。

物語の展開としては唐突過ぎたり、都合良過ぎだったり、なぁんとなくそれとない伏線で結末が分かっちゃったりするし、母の存在によるところも大きい んだけど、リアルなようでいてどこか現実から乖離した雰囲気が漂っている・・・つまりとっても“物語然”としてるんだけど、だけど、だけどなんだけど!、 違和感を感じることなく映画の世界に吸い込まれていってしまった。この映画の中で起こっている状況の不均衡さが面白い!

物語が女性の視線のみを描いていて、それも複数の女性を扱っているので、色んな女性の立場や想いが浮き彫りになって面白い。この映画、男性が見てど ういった感想を持つのかは、ちょっと興味がある。だって、事象だけを追えばかなり強烈な話だから、心情に感じ入ることが無かったら嫌悪感を示しそう。 まぁ、それは男性に限らないけどねぇ。好き嫌いは分かれそう。

ライムンダがボルベール(帰郷)を歌うシーンには、胸を締め付けられるような気がした。あたしは、2回、涙しちゃいました。最初は母の視線に、次は 娘の言葉に、思わず涙・・・母娘の複雑な想いの揺れにシンクロしてしまった。『帰郷』か・・・・・なるほどね。終わり方、あたしは好きです。なんかホッ  としちゃいました。

音楽もよかった♪♪♪

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以下、微妙なネタバレあり。鑑賞前の人は読まないでね♪

    

 

 

スクリーンに映っている“スペイン”が、とても見応えがあった。

まず服装、カーディガンはざっくり編んだモスグリーン+カットソーは抑えた色合いの紫+ボトムスのスカートは花のテキスタイルだったり、微妙なバランスの クロス・ペンダントだったり。そしてインテリア、特に叔母さんの家!、腰壁に貼られたタイルだったり、壁に飾られた絵皿や額に入った絵だったり。服装もイ ンテリアも、多色使いだし柄に柄を合わせてたりするんだけど、トーンが統一されてるせいか、野暮ったいようでいて全体としてまとまって見えるのがスゴイ。

Volver_004 極めつけが町の風景、車道が石畳でその両端には白い塗り壁の家が並んでいたり、昔のNYスパニッシュ・ハーレムのような壁の落書きだったり、大きなプロペ ラ風車が回っていたり、水辺のなんでもない木立さえ・・・・・、赤い車+緑のバケツ+青いトップスのように、なんでもないシーンでの色の組み合わせも目に楽しい!! おそらくスペイン ではなんでもないその風景に見入ってしまう。・・・・・異国の風景って好奇心をそそる。

Volver_001 あと、料理をするシーン、食事をするシーンが、沢山あったのも楽しかった。市場での買出しカラフルなパプリカ、美味しそうなドーナツ、切り分けられるチョ リソ、ちっちゃいバケツからでてくる蒸プディング、ミントを鼻にかざしながら飲んでたスノースタイルのカクテル・モヒート(一見マルガリータだったけど、 モヒートなのでグラスの縁はお砂糖かな)・・・・・、贅沢なご馳走ではないけど、美味しそうなのがイイ。

気になったのが叔母さん家の帰りに車中で食べていた細長いのの名前。あれが‘ウエハース’なのかな?・・・あたしが思うのとイメージが違うんだけど、それ ともあれはチュロスだったのかな?・・・気のせいかチクワみたいに穴が開いてた気がしたけど見間違いだったかな? あれれ~???

マリファナを吸うシーンがあったけど、スペインのマリファナ事情はどうなってるのかな? 勧め方からして、自家栽培のものは質がイイって感じの言い方だっ た。でも、あの反応だと、当然合法では無さそうで、かといってスッゴク特殊な人達が吸っているモノって感じでも無かったなぁ。

日本では、許可を受けて栃木で産業大麻が栽培されてるけど、基本的には産業大麻でも栽培はNGだ。でも、大麻種子製品や大麻製品を取り扱うのはOKだ。 “大麻”のイメージを変えようと日本でも'98年以降、色々なメディアに取り上げられているみたいだ。アンテナが低いのか、あたしは知らなかったけど。実 際、麻と綿の混合繊維はよく見かけるし、他にも大麻製品を扱った意外な商品がある。下記の商品からは、大麻=麻薬というイメージじゃなくて、大麻=エコロ ジカルというイメージが感じられる。

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□ 新潟ビールの「麻物語」は、消化吸収に優れたタンパク質と食物繊維を豊富に含むということで麻の実を使用している。もちろん、麻の実は麻薬成分は含まれないから、このビールを飲んでも幻覚は引き起こされません、念のため。 

□ この「麻物語」をプロデュースした人が、2002年にヘンプカー・キャンペーンをやっている。大麻がいかに多段階利用できるかってことをデモンストレーションするために、キャンピングカーをヘンプ油で走らせて日本横断!?している。

□ あたしは使ったことないけど、自然派化粧品で知られるザ・ボディショップの「ヘンプ・シリーズ」のヘンプってのは大麻のことで、大麻種子オイルを使用している。

・・・・あれれ?、なんか変な方向にそれちゃった。^^;

映画に戻って、携帯電話のデザインも、へぇ~って思って見ちゃった。折り畳み式じゃなくてストレートだったけど、結構小振りだった気がする。電話機能以外はどうなってるんだろう?、、、ちょっと興味もあるけど、面倒なので調べていない。^^;

耳にインパクトを残すのが、スペイン語だ。勢いがあって力強い響きがある。悲しげに歌っても、生命力に満ち溢れているように感じられる。

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~ スペインあれこれ ~

◆スペインでは、同性結婚を異性間の婚姻と同等とみなし、夫婦とほぼ同じ権利を認めている(2005.7.3施行)。オランダ(2001)、ベルギー(2003)もスペインに先んじて同性結婚を認めていて、その他の欧州ほとんどに、夫婦に準じるパートナーシップ法がある。

◆スペインの国土は日本の1.3倍、人口は約1/3程度。外国人観光客数、観光収入ともに世界2位の観光大国。日本とは450年以上にわたる交流の歴史があり、伝統的に友好関係にある。

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◆スペインで映画館が一斉休館 2007/06/27

スペインのおよそ93%の映画館が、一時的に終日休館した。これは、政府が新しく制定を予定している法律に反対する抗議運動の一環。法律は、上映作の4本 に1本をスペイン映画かヨーロッパ映画とすることを定めるものだが、スペイン映画連合は「スペイン映画を上映している劇場は、お客がいない劇場。つまり我 々にとって損害となる。映画ファンはスペイン映画には興味がないんだ」としてこれに大反対。政府側は、自国の映画産業を保護するためにこの法律を可決する 構えだが、連合側は、この法律が可決される代わりに劇場が収入減分の保証を受けることを求めている。

~ ペドロ・アルモドバル監督 ~

ペドロ・アルモドバル( 1951年9月24日 - )はスペインの映画監督・脚本家。

カスティーリャ・ラ・マンチャ州出身。独裁者のフランコ政権の抑圧下に育つも、民主化への移行のもとで起こった反権威的な音楽・絵画・映像などの芸術活動に加わる。その当時はパンクバンドに属していたこともある。

スペインを代表する女優、カルメン・マウラとはデビュー作よりの付き合いで初期-中期のアルモドバル作品の中で主演を多く演じている。2006年のカンヌ国際映画祭で上映された最新作『ボルベール〈帰郷〉』では脚本賞と主演女優賞を獲得、また久々にカルメン・マウラが出演している。

同性愛者として有名でもあり、作品も女性の視点から描いたものが多い。
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コメント

面白かったです。^^

ヒロインの女性の前向きな ^^たくましさが
好感です。

あの歌は、よかったですねぇ(≧∇≦)

・・・ ・・・ ・・・

 ライムンダがあの現場を見て、一瞬で「娘を守るんだ」いう決断を下したところが、このドラマの本来持っている暗いトーンを軽快なヒューマンドラマへ転化させたポイントかなって思いました。


     


投稿: nono1 | 2007年7月 8日 (日) 06時48分

ヒロイン、前向きだったよね。 ^^

>一瞬で「娘を守るんだ」いう決断を下した
>暗いトーンを軽快なヒューマンドラマへ転化

うんうん、そうだよね。

ヒロインの母親としての姿には、強さとやさしさが感じられてよかったよね。でも、強いばかりじゃない、やっぱり心細かったし不安だったからこそ、自分の母親に「話したいことが沢山あるの・・・」と言う。もう彼女のココロは、一人じゃないんだって感じのラスト、なんかホッとしちゃいました。

投稿: さくらスイッチ | 2007年7月 8日 (日) 07時38分

こんにちは。
私はレヴューを書いたのが、鑑賞後一週間以上たってからだったので、細かい部分を忘れてしまっていたのですが、こちらを読んで、ファッションや小物のステキさを思い出しました。食べ物もおいしそうでしたよねー。
スペインには去年行ったのですが、また行ってみたくなりました。

投稿: かえる | 2007年7月15日 (日) 11時01分

★かえるさん、コメ&TB、ありがとうございます。

この映画の背景はスペインの生活感があって、とても心惹かれました。スペインは以前から行ってみたい国だったのですが、まだ一度も行ったことがないので、余計に興味が湧いてきちゃいました♪ 

行ったことがあるなんて、うらやましいです。^^

投稿: さくらスイッチ | 2007年7月15日 (日) 22時48分

"スペインで映画館が一斉休館
上映作の4本に1本をスペイン映画かヨーロッパ映画とすることに
スペイン映画連合が反対し、一斉休館をした。"


韓国ではクオーター制度(4本に1本は韓国映画を上映)を
行い、自国の映画を保護していました。
いまは、以前ほどの保護はなくなっているそうです。
それは韓国映画が動員力が安定してきたからでもあるのでしょうが、
なんといっても、ハリウッドメジャー映画会社の
強引な圧力が一番の原因でしょう。

スペインは、クオーター制度実施をするなら、
政府がスペイン映画への投資をし、
映画制作の資金を補助するくらいの気概がないと、
映画連合も納得がいかないでしょう。

また 面白い情報があったら、教えてください。

ちなみに、「ボルベール」は、面白かったです。
こういう作品がたくさん出てくれば、
クオーター制度をしなくても、
スペイン映画は、映画館を一杯にできるでしょう。

投稿: hito2km | 2007年8月 4日 (土) 21時27分

>こういう作品がたくさん出てくれば、
>クオーター制度をしなくても、

そうですよね。
映画シーンが盛り上がるのは、それが面白いからであって欲しいものです。

投稿: さくらスイッチ | 2007年8月 5日 (日) 06時12分

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