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2007年10月29日 (月)

224: 時計じかけのオレンジ

 

悪趣味過ぎてオモシロイ!! 

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原題 : A CLOCKWORK ORANGE

監督 : スタンリー・キューブリック
原作 : アンソニー・バージェス
脚本 : スタンリー・キューブリック
音楽 : ウォルター・カーロス

出演 : マルコム・マクダウェル 、パトリック・マギー 、エイドリアン・コリ 、オーブリー・スミス 、マイケル・ベイツ 、スティーヴン・バーコフ

製作 : 1971年 イギリス
上映時間 : 137分

喧嘩、盗み、歌、タップ・ダンス、暴力。山高帽とエドワード7世風のファッションに身を包んだ、反逆児アレックスには、独特な楽しみ方がある。それ は他人の悲劇を楽しむ方法である。アンソニー・バージェスの小説を元に、異常なほど残忍なアレックスから洗脳され模範市民のアレックスへ、そして再び残忍 な性格に戻っていく彼を、スタンリー・キューブリックが近未来バージョンの映画に仕上げた。忘れられないイメージ、飛び上がらせる旋律、アレックスとその 仲間の魅惑的な言葉の数々。キューブリックは世にもショッキングな物語を映像化した。

当時、議論の的になったこの作品は、ニューヨーク映画批評家協会賞の最優秀作品賞と監督賞を受賞し、アカデミーでは作品賞を含む4部門にノミネートされた。

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<備忘録> オリバー・サックス『火星の人類学者 脳神経科医と七人の奇妙な患者』より

◆精神外科ロボトミー手術でノーベル賞受賞

1880年代、前頭葉の腫瘍がさまざまな症状を引き起こすことが明らかになった。ときには無関心、遅鈍、精神活動の遅滞、ときには極端な性格の変化 や自制力の喪失、またときには(ガワーズによれば)「慢性的な狂気」すら起こることがある。前頭葉腫瘍の最初の手術が行われたのは1884年で、精神病の 症状だけを理由に初めて前頭葉が除去されたのは1888年だった。このときの理由は、精神分裂病だったと思われる患者の強迫観念や幻覚、妄想性興奮などが 前頭葉の活動過剰あるいは病的活動に起因するということだった。

それから45年間は、こんな無謀はくり返されなかったが、1930年にポルトガルの神経学者エガス・モニスが「前頭葉白質切截術」と名付けた手術を 考案し、不安神経症や鬱病、慢性的な分裂病などの患者20人に施された。1936年に彼の論文が発表されると、彼が主張した手術の成果に大きな関心が集ま り、治療への熱い期待のかげで彼のずさんさや不注意、それにたぶん不誠実さが見過ごされた。モニスの手術に続いて(彼が名付けた)「精神外科」がブラジ ル、キューバ、ルーマニア、イギリス、そしてとくにイタリアなど、全世界に爆発的に広まった。だが、どこよりも影響が大きかったのは、アメリカだった。神 経学者のウォルター・フリーマンは経眼窩ロボトミーと名付けた恐るべき外科手術を考えだした。その手順を彼はつぎのように説明している。

患 者に衝撃を与えて意識を失わせ、「麻酔」下で眼球とまぶたの間から眼窩上辺の奥の前頭葉部分にアイスピックを差し込み、これを左右に動かして水平に切りこ みを入れる。ふたりの患者には左右両半球、ひとりはいっぽうだけに手術を施したところ、一名の片目が黒く痣になった以外は合併症もなかった。今後、問題が 出てくるかもしれないが、一見抵抗を覚える方法ながら、非常に平易である。これらの症例については今後の経過を待たなければならないが、ロボトミー後の行 動にわずかな困難があるだけで、症状は大幅に緩和している。患者は術後一時間ほどで起き上がって帰宅したほどである。

ア イスピックを使って診療室で簡単に処置するというこの精神外科手術は、驚きと恐怖を巻きおこして当然なのに、追随する者が続出した。1949年にはアメリ カで1万人が手術を受け、その後の二年に患者はさらに1万人増加した。モニスは「恩人」と称えられて、1951年にノーベル賞を受賞した。受賞は、マクド ナルド・クリッチェリーの言葉によれば「この恥ずべき物語」のクライマックスだった。

もちろん、手術で「治癒」するわけがなく、患者はただ無気力で従順になっただけで、もとの顕著な症状と同じくらい、あるいはそれ以上に「健康」とはほど遠い状態で、しかも(もとの病気とちがって)もはや回復の可能性はなかった。

1966年から90年まで州立病院に勤めたわたしは、ロボトミーを施された哀れな患者をおおぜい見たが、レプケよりもひどくて精神的には死んだも同然の者も多かった。彼らは「治癒」したといわれたものの、じつは殺害されたのである。

◆前頭葉の抑制から逃げ出して

1880年代に単純に考えられていてモニスも同調したように、前頭葉の回路の大きな異常が精神病の原因かどうかはともかく、この部分の優れた偉大な 機能には裏面があることもたしかである。人間はときには意識や倫理観、良心、それに義務や責任感の重さに耐えられず、この重圧から、正気と健全さから解放 されたいと願う。前頭葉の窮屈な文明社会にはそうした欲求があることを、いつの時代、どこの文明も気付いていた。

わたしたちはみな、ときには少し前頭葉から離れて休暇を取る必要がある。だが、病気や怪我のためにその休暇から戻れなくなるのは悲劇である。

   

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