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2007年10月18日 (木)

218: エディット・ピアフ~愛の讃歌~

愛を歌い 歌を愛し 生きるために歌い 歌うことが生きることだった
   
  
La_vie_en_rose_03

仏題:La môme
英題:LA VIE EN ROSE

監督・脚本 : オリヴィエ・ダアン
製作 : アラン・ゴールドマン
脚本 : イザベル・ソベルマン
撮影 : テツオ・ナガタ
音楽 : クリストファー・ガニング

キャスト : マリオン・コティヤール シルヴィ・テステュー パスカル・グレゴリー エマニュエル・セニエ ジャン=ポール・ルーヴ ジェラール・ドパルデュー クロチルド・クロー ジャン=ピエール・マルタンス

製作 : 2007年 フランス
日本公開 : 2007年9月29日
上映時間 : 2時間20分

「愛の讃歌」など、数々の名曲で世界中を魅了した伝説の歌姫エディット・ピアフの生涯を描く伝記ドラマ。

◆◆◆さくら85点 劇場鑑賞(TOHOシネマズ)

La_vie_en_rose_01 シャンソンって殆ど聞いた事が無かったし、どことなく大げさな感じで好みでは無かったんだけど、この映画のエディット・ピアフの歌は、もの凄く聞き入って しまった。歌とピアフの人生は表裏一体で、この映画の中で、歌がピアフの人生をドラマチックに演出し、ピアフの人生と相まって歌の内容が情感を伴ってこち らに訴え掛けてきた。  

これから鑑賞予定の人でエディット・ピアフについて多くを知らないんだったら、エディット・ピアフ(wiki)をざっと読んでおくといいかもしれない。ちなみにあたしも、友人の勧めでwikiを 読んでから観に行った。ピアフの人生が物語りとして流れをもって描かれているというよりは、時間の前後を無視してコラージュするような構成になっていて、 その上必ずしも登場人物が一定しているわけでは無いので、知らなくても楽しめるとは思うけど、ある程度のピアフの事を知っておいた方が、ピアフの感情を臨 場感を持って感じることが出来ると思う。 

エディット・ピアフは恋多き人生を送った。その多くの恋愛の相手は、歌手だったり作曲家だったり多かれ少なかれ彼女の“仕事”に関連したアーティスティックな男たちだけど、ボクシング・チャンピオンのマルセル・セルダンは、彼女の“仕事”に関連していない唯一の男のようだ。それゆえに、他の誰との時とも違い、一人の女として過ごせた相手だったんじゃないかと思った。このピアフが32歳から34歳までの恋が、映画で中心的な恋として扱われているのも分かる気がする。  

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◆エディット・ピアフという人

1951年から1963年までに、エディット・ピアフは、自動車事故4回、自殺未遂1回、麻薬中毒療法4回、睡眠療法1回、肝臓病の昏睡3回、狂気 の発作1回、アル中発作2回、手術7回、気管支肺炎2回、肺水腫1回を経験したことになる。(『愛の讃歌―エディット・ピアフの生涯』)  から一部抜粋

ピアフの生涯の大恋愛はボクサーのマルセル・セルダンとのものであるが、セルダンは1949年に飛行機事故死している。ピアフは2度結婚しており、 最初の夫は歌手のジャック・パル(Jacques Pills)であった。2人は1952年に結婚し、1956年に離婚した。2人目の夫はヘアドレッサーから歌手、俳優へ転身したテオファニス・ランボウカ ス(Theophanis Lamboukas,「テオ・サラポ」の名で知られる)であった。サラポはピアフよりも20歳も若かったが、ピアフの大ファンであったことが昂じて交際す るようになり、2人はマレーネ・ディートリッヒの介添えのもと1962年に結婚した。サラポはピアフの死後、彼女の残した多額の借金を独力ですべて返済した。 から一部抜粋

エディット・ピアフの代表曲「ばら色の人生」(この曲は1998年のグラミー賞名誉賞を受賞している。)は第二次世界大戦のドイツ占領下に書かれ た。この時期彼女は大変な成功を収め、大きな人気を得る。ワン・ツークラブでドイツ軍高官のために歌を歌うことでピアフはフランス兵捕虜との写真をとる権 利を得る。それは表面的には士気を高めるためのものとして行われたが、捕虜達は彼女と共に撮った写真から自らの写った部分を切り取って、脱走計画に使用す る偽造文書に貼り付けた。今日、ピアフのレジスタンスへの貢献はよく知られており、多くの人々が彼女によって救われた。 から一部抜粋 

彼女はシャルル・アズナヴールのデビューを手助けし、自らのフランス、アメリカでの公演旅行に同伴させた。アズナブールの他にも、イブ・モンタン、ジルベール・ベコーなどピアフに才能を見出された歌手は多い。 から一部抜粋

 

以下、◆ピアフが愛したマルセル・セルダンについて、◆「愛の賛歌」「水に流して」の一部歌詞、◆エディット・ピアフの生涯を記したページリンク、◆主演女優について、それらを少しだけ記してるので興味のあるかたは見てね♪

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Marcel_cerdan_2 ◆ピアフが愛したマルセル・セルダン

エディット・ピアフが愛したこのマルセル・セルダンは、映画『レイジング・ブル』の元になったプロボクサーのジェイク・ラモッタと戦っている。以下、マルセル・セルダンの略歴。

強靭なフィジカルとラフさと強打の攻撃的スタイルでKOの山を築き圧倒的な強さを誇示し続けた。メディアや強豪選手が彼の印象的な強さを噂にした事から世界的に「無冠の帝王」視され、実力と人気ともに充分であった。しかし世界挑戦は遅れることになる。

1948年9月21日に世界初挑戦、“鋼鉄の人”トニー・ゼールの世界ミドル級王座に米・ニュージャージー州ジャージーシティーで挑んだ。ロッキー・グラジアノの3度にわたる死闘で疲弊した感のあるゼールをスピードで上回り圧倒、11回左フックでダウンさせ12回開始時点でKO、タイトルをフランスに持ち帰った。大スターの世界奪取を待ち望んでいた祖国の国民はラジオの勝利を伝える報に歓喜しパリ中が喜びに包まれ、ファンは凄い王者が誕生したと活躍を期待した。◇映画の中で、ピアフが応援した試合はこれかな・・・

1949年6月16日に“ブロンクスの牡牛”ジェイク・ラモッタとの初防衛戦が米・デトロイトで行わた。当代切っての名うてのファイター同士の一戦は大きな前評判を呼んだ。試合は予想に違わぬ大激戦になったが、セルダンは途中で肩を負傷し左腕を動かせなくなる。それでも戦い続けたが遂に棄権し10回TKOで王座を明け渡した。

セルダンは復讐を切望し、ラモッタも受け入れニューヨークでの再戦が決定する。報を聞いたセルダンは狂喜、「勝つか、死ぬかだ」と言い残しパリから空路で決戦の地へ向かった。だが1949年10月27日、搭乗機が北大西洋アゾレス諸島付近に墜落、セルダンも不帰の客となった。

 

この恋の悲しい終結が「愛の賛歌」に繋がっていくんだよね・・・・・。    

 

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◆「愛の賛歌」「水に流して」

「愛の賛歌」 より抜粋

前略

もしもいつか、人生があなたをうばっても
あなたが死んでも、あなたが遠くへ行っても
あなたが愛してくれさえすれば平気
だって私も死ぬのだから
あたし達は永遠の中に生き
広々とした青い空の中で
問題なんぞのない空の中で
恋人よ、愛し合うのだから
・・・・・・・・・・
神様が愛し合う二人を結びつけて下さるでしょう

ピアフはセルダンの為に「愛の讃歌(Hymne à l'amour)」を書いた。この歌はセルダンの死を哀しんで書かれた物と言われてきたが、セルダンの生前に書かれた物だと判明している。相思相愛で誰もが知る仲ではあったが、妻子を持つセルダンとの恋愛に終止符を打つ為に書いた物だと考えられている。イヴ・モンタンとの愛を歌った「ばら色の人生(La Vie en rose)」と並び彼女の代表曲であり、多くの歌手がカバーをしている。(どちらの曲も作詞はピアフ自身。)

でも、個人的には「水に流して」が好きだ。自分の人生を悲観してない感じと、この歌にあふれている生命力が好き♪

「水に流して」 より抜粋

前略

私のいろいろな過去を束にして
火をつけて焼いてしまった
私の苦しみも、喜びも
今となっては必要ない
私は過去の恋を清算した
トレモロで歌う恋を清算した
永遠に清算してしまった
私はまたゼロから出発する

私の人生も、私の喜びも
今は、あなたといっしょに始まる

上記の歌は公式HPの【Edith Piaf Songs】で聞くことができるよ♪

おまけ: 本来、シャンソン(chanson)は、フランス語で歌の意味である。したがって、少なくとも現代のフランス語圏においては、シャンソンは歌全般を意味し、特定ジャンルの楽曲を指すものではない。他言語圏ではフランス語で歌われる曲という意味で使われることが多く、この場合も何らかの音楽的特徴を持つものではない。なおイタリア音楽のカンツォーネ(Canzone)とは元々の語源は同じである。

 

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◆エディット・ピアフの生涯

エディット・ピアフの死 wiki
47歳になってまもなくの1963年10月10日、ピアフはリヴィエラで癌により死去する。死はその翌日に公表されたが、同日友人のジャン・コクトーが死去した。彼女の公式の命日は死が公表された10月11日とされている。遺体はパリのペール・ラシェーズ墓地に埋葬された。彼女のそのライフスタイルゆえに、カトリック教会のパリ大司教は葬儀におけるミサの執行を許さなかったが、葬儀には無数の死を悼む人々が路上に現れ葬列を見送り、パリ中の商店が弔意を表して休業し喪に服した。墓地での葬儀は40,000人以上のファンで混雑した。シャルル・アズナブールは第二次世界大戦後、パリの交通が完全にストップしたのはピアフの葬儀の時だけだったと述懐している。

今日、彼女はフランスで最も偉大な歌手の一人として記憶され、尊敬されている。フランスではいまだに彼女のレコードが売れ続けている。彼女の生涯は悲劇的な私生活と一連の名声、そしてステージ上で轟くような力を備えた声と華奢で小さな姿がコントラストとして現れたものであった。

 

公式HPの【エディット・ピアフの生涯】では、彼女の生涯が年譜にまとめられているよ。映画を見る前でも見た後でもどちらでもいいので、見てみると興味深いよ。

エディット・ピアフ~愛と歌の遍歴~
ここでもピアフの生涯が年譜にまとめられている。事故、病気、恋愛遍歴・・・・・波乱万丈だねえ。

エディット・ピアフ(2)~イヴ・モンタンを発掘、アメリカへ進出
歩道育ちのエディットに怖いものはなかった。エディットのフィンガーボール事件に侮蔑の表情を浮かべた上流社会の淑女たちは、後にエディットが、エリザベス王女と席を並べて食事するとは思いも寄らなかったはずだ。
 

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◆主演女優

Marion_cotillard マリオン・コティヤール

実際は169cmあるそうだけど、142cmのピアフを演じても違和感無かった。映画の中では「小さなピアフ」に見えた。

映画を見ていたら、あれ?これってホントウに彼女が歌ってるのかな?っていう錯覚を覚えるほど、役になりきっていたと思う。(もちろん歌声はピアフのもので、クチパクです。)

ピアフの晩年、といっても40代半ばだけど病気等でかなり老けた感じの様子も、32歳とは思えない化けっぷりと演技ですごかった。

正直、右の写真を見て、ええ~!?って驚いちゃった。どこにも役の面影が無いような・・・・・。彼女も凄いけど、役に抜擢したオリヴィエ・ダアン監督も凄いなあ。

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コメント

とっても
小さくて きゃしゃな体で
でも とても 「根性^^」があって
でも とても もろい

そんな 彼女の 精一杯の 姿に

可愛さが 見えました


そんな 

本質を

かいま見させてくれる

演技 演出

投稿: nono1 | 2007年10月19日 (金) 21時17分

そうそう、そうなのよねぇ ^^

そういったピアフという女性を感じながら聞いた歌声は、とてもココロに響きました。サントラを思わず購入しちゃいました。

投稿: さくらスイッチ | 2007年10月19日 (金) 23時31分

こんばんは、いつも面白く読ませてもらってます。
情報量が多くてとても参考になりますね。
リンクに貼ってあったピアフの歴史を読んでみると、
映画でもよく描いていたなと思います。
私も2回目の鑑賞をすませたところです。
すでに上映を終えそうな劇場もあるのですが、
時間さえあればもう一度くらい劇場で見ておきたい作品になりました。
もちろんサントラも聴いてます。
主演のマリオン・コティヤールは素晴らしい演技を見せてくれてましたね。

投稿: miu | 2007年10月22日 (月) 02時10分

★miuさん、コメントありがとうございます。^^

基本的には自分自身のために記録しているブログですが、それがmiuさんの参考にもなっているのは、とても嬉しいです。

>映画でもよく描いていたなと思います。

あたしもそう思いました。ピアフのようにエピソード満載の人生を送っていると、光の当て方ひとつで“ピアフ像”というのは大きく変わってくると思います。この映画では、娘として、女として、歌手として、母として、そして一人の人間として、様々な姿が描かれていましたよね。詰め込み過ぎで浅く表面的になってしまう事も無く、栄光を手にした姿の裏側にある、振れ幅の大きな感情の起伏、身勝手にも感じる程の強さ、死より孤独を恐れるその弱さにも光が当てられていて、とても立体的で深い“ピアフ像”になっているのを感じました。海辺でインタビューを受ける姿も印象深かったです。

ピアフの歌声をピアフ目線で感じることが出来たのは、この映画のおかげです。サントラいいですよね♪

主演のマリオン・コティヤールは、ホントに素晴らしかったですよね♪

投稿: さくらスイッチ | 2007年10月22日 (月) 05時52分

さくらスイッチさんの見方を読んでると、
私の感じたこととほとんど同じことを書いてますね。
エピソードの多い人なので、あまり枝葉を広げずに、
ピアフ=歌、というテーマに絞り込んだことが良かったように感じます。
私も浜辺で編み物をする後姿が気に入ってます。
以前バベルでも別のHNで少し書かせてもらいました。
これからも楽しみに読ませていただきます。

投稿: miu | 2007年10月23日 (火) 18時10分


映画素人&ピアフについて殆ど何も知らないあたしが、miuさんと同じように感じられたのは、やっぱり作り手が凄かったのだと思います。


miuさんのHP、拝見させて頂きました。『エディット・ピアフ~』『バベル』他、とても興味深い内容でした。miuさんの解説を読んでいて気になった作品もいくつかあったので、レンタルしてみたいなと思いました。

投稿: さくらスイッチ | 2007年10月23日 (火) 20時15分

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» 映画「エディット・ピアフ 愛の讃歌」(2007年、仏・チェコ・英) [富久亭日乗]
 ★★★★☆  フランスの歌手、エディット・ピアフの伝記映画。 原題「LA VIE EN ROSE」は、ピアフの持ち歌「バラ色の人生」の意。  家庭に恵まれず極貧の人生を送った幼少のころから、 歌に目覚め、成功を収めるまでの物語と、 病に侵された晩年(晩年といっても40歳代後半だ)が 交互に描かれる。  特筆すべきはピアフを演じたマリオン・コティヤール。 青春時代から晩年までを演じているが、 歌に取付かれたように鬼気迫る晩年のピアフの 演技はすさまじかった。  これが「プロヴァンスの贈り物」(20... [続きを読む]

受信: 2007年10月20日 (土) 21時45分

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