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2008年2月26日 (火)

295: 乱

狂った今の世の中で 気が狂うなら 気は確かだ!

Ran06

監督 : 黒澤明
製作 : セルジュ・シルベルマン 原正人
脚本 : 黒澤明 , 小国英雄 , 井手雅人
音楽 : 武満徹 指揮:岩城宏之 音楽製作:東京コンサーツ 演奏:札幌交響楽団
撮影 : 斎藤孝雄 上田正治
狂言始動 : 野村万作
能作法指導 : 本田光洋(金春流)
馬術指導 : 渡辺隆

出演 : 仲代達矢 寺尾聰 根津甚八 隆大介 原田美枝子 宮崎美子 野村武司 井川比佐志 ピーター 油井昌由樹 伊藤敏八 児玉謙次 加藤和夫 松井範雄 加藤武 田崎潤 植木等

収録時間 : 162分
制作 : 1985年 日本 フランス

受賞履歴
衣装を担当したワダ・エミが1985年アカデミー衣裳デザイン賞を受賞
英国アカデミー賞メイクアップ賞 外国語映画賞受賞
全米映画批評家協会最優秀作品賞 撮影賞受賞
ニューヨーク映画批評家協会外国語映画賞受賞
ロサンゼルス映画批評家協会音楽賞 外国語映画賞受賞
ボストン映画批評家協会作品賞 撮影賞受賞

シェ イクスピアの『リア王』を毛利3兄弟の物語に大胆に翻案して描いた絢爛豪華な戦国絵巻。過酷な戦国時代を生き抜いてきた猛将、一文字秀虎。70歳を迎え、 家督を3人の息子に譲る決心をする。長男太郎は家督と一の城を、次郎は二の城を、三郎は三の城をそれぞれ守り協力し合うように命じ、自分は三つの城の客人 となって余生を過ごしたいと告げた。しかし、秀虎を待っていたのは息子たちの反逆と骨肉の争いだった。やがて、秀虎はショックのあまり発狂してしまう。

IMDb★★★★★★★★★☆☆ User Rating: 8.3/10 (23,052votes)
YAHOO! MOVIES】 ( ABCDF ) The Critics : none Yahoo! Users : B/990ratings
YAHOO!JAPAN 映画
★★★★☆ 4.35点/20レビュー
映画生活
★★★★☆ 79点/15人

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感じる面白さと言うより、考える面白さがあった。

三本の矢の逸話が 登場するし、ちょんまげを結ってる武将が登場する戦国の世が舞台なので、その感覚で伏線を読むと、それが微妙に外れるのが最初は奇妙な感覚だった。赤、 黄、青、金色、漆黒と鮮やかに美し過ぎる色彩(衣装)も、その奇妙な感覚に拍車を掛けた。姿は戦国武将でも、感覚は西洋っぽい、というか現代っぽい事から くる奇妙さなのに、スグに気が付いた。現代の感覚で伏線を読むと、感覚的にしっくり納まっていく。衣装はその雰囲気を端的に、そして的確に表現していた。

斬新と見るか、陳腐と見るか(苦笑)? 建物を含む背景、独特の美しさが光る衣装、迫力ある大勢の兵馬、チャチな感じが微塵も無い画。その画が、日 本の戦国時代を舞台にしながらも、その時代感覚とはかけ離れた登場人物の振る舞いを、陳腐に見る事を許さない。画の裏にあるメッセージを考えずには居られ ない。

 

以下、微妙なネタバレ有り。
Ran02

Ran03

Ran04

Ran05

色々と考えさせられた・・・・・。

人間が老いるという事。価値観の変化、情愛の目覚め。血族経営と親子関係、創始者の引き際の難しさ。平和な世の中に戦を起こす事と、戦乱の世に生まれる事の違い。秀虎が象徴するモノ(= 権力者 ・ 戦争する人間&国 ・ 世界の中の戦後日本 ・ 昭和天皇 ・ 日本の中の軍部 ・ 映画界の中の黒澤監督)、3人の息子が象徴するモノ(太郎と次郎は過去の秀虎でもある)。“弱者”(楓の方 ・ 末の方 ・ 鶴丸 ・ 百姓 = 戦後の日本国民)の思い、哀しくて恐ろしいけど滑稽さを感じる狂阿弥の真実をつく戯言。

そして、何より戦争する人間の愚かさ!  ヽ(`⌒´メ)ノ

ラストシーン、絶壁の上に立つ盲目の鶴丸の姿。彼はその後どうなったのだろう。それを想像する事が、この映画を顧みる事に繋がり、又、考えさせられた。・・・・・菩薩の掛け軸。 。。。

 
 
戦国時代と第二次世界大戦を重ねて表現している、と感じた。制作は終戦後40年目の1985年だけど、それ以前から長く温めていた題材というのも頷ける。日本で戦争の記憶が風化してしまう前に、風化してしまわない様にこの映画を撮りたかったのかもしれない。戦争、紛争、内戦が絶えない世界に向けても伝えたかっただろうしね。国内外に向けて伝えたかったメッセージ・・・

終戦の1945年に黒澤35歳、『乱』制作の1985年に黒澤75歳。
 


Ta01

Ta12

殿もご用心なさる事じゃ
 
狐はよく女に化けて悪事を働きまする
遠くは 西域の斑足王の夫人に化けた狐は
王にすすめて千人の人を殺し
後に中国において 周の幽王の后となって国を亡ぼし
日本に渡って朝廷に使え
玉藻の前となってさらに悪事を行い
遂には九本の尾を持つ白狐と化したと伝えられておりまする

あるいは このあたりに住みついているかとも考えられまする
まず 御用心 御用心
御免!

 

玉藻の前

玉藻前(たまものまえ。玉藻の前と紹介されることもある)は平安時代末期、鳥羽上皇に仕えた白面金毛九尾の狐が化けた架空の絶世の美女。鳥羽上皇が院政を行った1129年から1156年の間に活躍したといわれ、20歳前後の若い女性(少女とも)でありながら、大変な博識と美貌の持ち主であり、天下一の美女とも、国一番の賢女とも謳われた。また、化生の前(けしょうのまえ)とも云われ、その正体は白面金毛九尾の狐ではなく、2つの尻尾を持った狐であったとも云われている。

参考:挿絵とあらすじで楽しむお伽草子 第9話 たま藻のまへ

・・・・・・・・・・
ニンテンドーのDS文学全集に岡本綺堂・作の『玉藻の前』が収録されていて、ちょっと前に読んだばかりだった。怪しく、美しく、恐ろしく、そして哀しいお話に仕上がっていて、面白かった。にしても、楓の方を演じた原田美枝子( 1958年12月26日 - )って、やっぱり美人ですねぇ。

 
 
 
 
 
リア王』が下敷きになっている事&アップが少なく全体を捉えた画が多い事もあって、文学的&舞台的に感じる映画だった。

時代劇であるにもかかわらず 現代劇のような感覚の映画

Ran13

 
 
 

Ran11

Ran12

Ran01

 

  

***・・・・・ 黒澤明監督作品 ・・・・・***

1943年制作  姿三四郎
1948年制作  酔いどれ天使
1950年制作  羅生門
1954年制作  七人の侍
1965年制作  赤ひげ
1985年制作  乱
1991年制作  八月の狂詩曲
1993年制作  まあだだよ

  

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