355: 崖の上のポニョ
監督・原作・脚本 : 宮崎駿
音楽 : 久石譲
プロデューサー : 鈴木敏夫
主題歌 : 藤岡藤巻と大橋のぞみ
製作 : 2008年 日本
日本公開 : 2008年7月19日
上映時間 : 101分
崖の上の一軒家に住む5歳の少年・宗介は、ある日、クラゲに乗って家出したさかなの子・ポニョと出会う。アタマをジャムの瓶に突っ込んで困っていたところを、宗介に助けてもらったのだ。宗介のことを好きになるポニョ。宗介もポニョを好きになる。
【IMDb】 ★★★★★★★★☆☆ UserRating:8.6/10 (97 votes) (8/10付)
【YAHOO! MOVIES】 ( ABCDF ) Yahoo! Users : A/7ratings (7/20付)
【YAHOO!JAPAN 映画】 ★★★☆☆ 3.57点/61人 (7/20付)
【映画生活】 ★★★☆☆ 66点/23人 (7/20付)
【エイガ・ドット・コム】 Critics Rate : C User's Rate : A- 見たい度 : ★★★★☆4.3/875票 (8/10付)
◆◆◆さくら 82点 劇場観賞(公開初日)
あたしは、スキューバダイビングを少しだけやっていたんだけど、その時の感覚がよみがえった。水の中で聞こえるくぐもった音、海の中での浮遊感、何もかもが青く染まるその世界は、とても美しかった。あと、名古屋港水族館で見た肺魚も思い出したり。
西表島に、シーカヤックをやりに行った時の感覚もよみがえった。海の上を風に吹かれながら、一生懸命にカヤックを漕いだ。水中から伸びたマングローブの木にすごく感動したな。
そして、子どもの頃、台風がくるとワクワクした時の気持ちもよみがえった。あの頃は、非日常というそれだけで、何か特別に感じていたなぁ。
101分が30分程度に感じられる程、あたしにとっては皮膚感覚で楽しめる映画だった。
以下、ネタバレ有り。(キーワードやセンテンスの羅列・・・^^;)
浮遊感、上昇感、疾走感。
『この井戸が一杯になった時 再び海の時代が始まるのだ カンブリア期にも比肩する生命の爆発 いまわしい人間の時代が終るのだ!』
虹色に明滅する巨大イカと光で挨拶
カンブリアのような生命の大進化を夢見て、生命の水で井戸を満たそうとするフジモト since 1907 ?(生命の井戸がある部屋の扉には1907、部屋内にある壺には1871のものあり)
生命の井戸がある部屋の扉の上にあった文字 “PANGEA(パンゲア)”←過去の超大陸、(未来の超大陸→パンゲア・ウルティマ、Pangea Ultima: 25億年後の地球)
深く美しい海、浅く汚い海
船の踏み切り!?(現実にも存在する?船のドック入り?)
(宮崎駿監督の母親が重ねられている)トキさんに(スタジオジブリの所在地・小金井市から命名された)小金井丸の折り紙を渡す宗介。 。。
『リサさん ここはもう渡れん』
『さっき 街のもんに避難命令がでたぞ』
『避難って・・ ひまわりの家には お泊りのおばあちゃんたちがいるわ!』
『あそこは島先だで 堤防も高いから大丈夫だ』
『とにかく いったん家に帰らなきゃ!』
『ここは無理だ 山に回りなさい』
『宗介 いくよ』 『うん』
『ああ やめなさい』『でかい波が来たぞ』
『波だ』『逃げろ リサさん』
ポニョ来る
外の様子(荒れる海)が見えるように?外の明かりを取り込むために?カーテンを開けるリサ
充電式非常灯、水道塔、ガソリン発電機、プロパンガス
光の明滅によるモールス符号や無線、灯台の役割を果たす崖の上の家
ライフラインがあり高台の安全な家に宗介を残し、ライフラインが止まった上に(島先で堤防が高いとはいえ)海辺で不安だろうデイケアに差し入れを用意して出掛けるリサ。 。。
『フジモト』
『お前 来てくれたのか』
『素敵な海ね 魔法の力に満ちていて まるでデボン紀の海に戻ったよう』
『私の失敗だ ポニョは魔法を使い放題だ 世界に大穴を開けてしまった 自分のしてる事を分かって無いんだ このままにしておいては世界は破滅する!』
『ねえ あなた ポニョを人間にしてしまえばいいのよ』
『ええ!?』
『古い魔法 男の子の心が揺らがなければ ポニョは人間になって 魔法を失うわ』
『しかし あの方法はしくじると ポニョは泡になってしまう』
『あら 私達はもともと泡から生れたのよ』
『でも たった五歳で 無理だ』
『しー・・・ 今は静かにお休み子供たち』
月の接近(現実は月が地球から離れていく・・・)と崩壊していく世界空間
海に呑み込まれない崖の上の家、海に呑み込まれた街とデイケア
大きくなったポンポン蒸気船♪
母子の食物連鎖
守るべき者として大切に扱われているお年寄りたち、赤ちゃんの母親、赤ちゃん
‘働く’父親たち(世界を救おうとしているフジモト、船乗りのコウイチ)に、子どもを‘守る’母親たち
コウイチ・リサと呼ぶ宗介(所謂‘ソウスケパパ・ソウスケママ’っぽくない)、説明のない魔法の理屈
大事なのはルールじゃないという事が伝わる映画を作りたかった by宮崎駿。 。。
“バスタオルのやわらかさ、甘いハチミツ、湯気のたつハムのせラーメン”という感触と味覚を好きになった経験を生かして赤ちゃんに優しさを示すポニョ 、リサカーにリサが居なくて泣く宗介に優しさを示すポニョ
声を掛けるけど、子供が必要としなければ手を貸さない大人たち
のんびりして見える被災者たち
ポニョを連れて自力で前に進んでいく宗介
神経症と不安の時代に立ち向かおうというものである by宮崎駿。 。。
『皆さん お静かに いよいよ運命の時が近づきました 宗介くんとポニョがここへ向かって来ています』
『きゃ~どうしよ』 『愛の試練よ』 『胸がドキドキしてきた』
『お静かに 皆さんはこの神聖な試練の立会人です どうか今しばらくお待ち下さい』
『フジモトさん まさか宗ちゃんやポニョに酷い事はしないでしょうね』
『それは もちろん! ポニョが寝てさえくれれば・・・』『宗介ぇ そんな奴に騙されちゃダメだよぉ 上手いこと言って皆を連れていってしまったんだ』
『トキさん』
『あたしゃ 騙されないからね』
『だから もう 時間が無いんです! あれが見えないんですか これいじょう月が近づいたら 取り返しがつかないんです』
『嘘なら もうちっとマシな嘘をつくんだね』
『あ~~ もう~~!!! 宗介くん 一緒に行こう 君しか世界は救えないんだ』
『宗介ぇ おいでぇ~』
『違うのに・・・!』
身元引受人になった宗介
‘地球の危機’を救った宗介の心、呪縛解放のキス (ジークフリートのキスで目を覚ますワルキューレのブリュンヒルデ)
魔法(生命の水)の力で歩けるようになったおばあちゃんたち。 。。
エンディングで流れる新浦 の様子(点在する島 無人灯台 デイケア 崖の上の家)と 深海の様子(フジモトの家)。
などなどのストーリー云々は、後で考えよう。今は、今のままで十分満足しているから、考えると言っても、いつになるか分からない。
生命力に溢れた映画だったなぁ。可能な限り自立していた5歳の宗介は、とても‘男の子’だったし、好きな人と一緒にいたいと望んだポニョは、とても‘女の子’だった。5歳にして既に、運命の人とめぐりあったんだね。・・・と思いたいけど、このお話の元って『人魚姫』、それに、ポニョの本名ブリュンヒルデは『ニーベルングの指輪』からとってるんだよね。・・・という事は、、、いやいや、『崖の上のポニョ』は『崖の上のポニョ』だ! 二人は、運命の二人なんだ!(笑)
『だいじょうぶだよ ぼくが まもってあげるから』
『ポニョ そうすけ すき ポニョ にんげんになる』
『ぼく おさかなのポニョも はんぎょじんのポニョも にんげんのポニョも みんなすきだよ』
『いい 宗介とポニョ どんなに不思議で 嬉しくて 驚いていてても 今は落ち着くの いい?』
ホットミルク (←著書で確認した・笑)にハチミツを混ぜたスプーン 美味しそう
インスタントラーメンの蓋を開けた瞬間に立ち上る湯気 美味しそう
美味しい夢が見れそう。 。。o( _ _ )o...zzzzzZZ
下記追記・・・ 前半・批判寄り、中盤・裏話、後半・宮崎駿監督本人談。
◆ No.01/11
2008/07/26 TBSラジオ ポッドキャスト
サタデーナイトラボ「町山智浩の"ザ・邦画ハスラー"」
宮崎駿は息子に自分を「ハヤオ」と呼ばせているのか
↑24分58秒の音声が聞けます
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教育上悪い、子供には見せたくない。スピード違反してるし、自分の子供に名前を呼び捨てにさせてるし。宮崎駿はディテールの人だったのに、それが崩壊している。
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◆ No.02/11
2008/08/10 ポッドキャスト!TOKYO FM
崖の上のポニョ VS スカイ・クロラ!
↑24分43秒の音声が聞けます
30年来の親友だから語り合えるポニョとスカイクロラ、そして日本のアニメーションをめぐるトークバトル!押井守と鈴木敏夫の言葉は悪いが心優しい本音対談!
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「100%宮さんの映画だったよね。映画になってないもんね。妄想の羅列だもん。映画として監修してないもん。」 「何でそういうこと言うの。もう少しオブラートに包んでよ。」 「映画というには無理があるよ。何しにあのお母さんはウチに帰ってるんだよ、またヒマワリに戻るんだったらウチに帰る必要なんてないじゃない。最低限の必然性が無いと納得しないんだよ。」 「オオツカさん言ってたジャン、宮さんが60過ぎて女に狂ったらスゴイよねって。宮さんは現実には走らないだろうけど、全ての代償行為をアニメの中に求めているんだよ。」 「あれは老人の世界だよ。」 「2年前くらいに会った時、絵描きの手を取り戻す、と言っていた・・・」 「世間は持ち上げるに決まってるよ。でも、それは違うぜ。宮さんとジブリだから実現したかもしれないけど。」
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◆ No.03/11
読売新聞 ジブリをいっぱい/100人のジブリ
2008年7月29日 宮崎吾朗が語る
「スタジオジブリ・レイアウト展」の魅力
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――駿監督の最新作「崖の上のポニョ」も展示されていますが、作品はご覧になりましたか。
吾朗 : 観ました。一言で言うと「ハーメルンの笛吹き男」だと思いました。とても魅力的な作品でありながら「これについていっていいのだろうか」という不思議な気持ちが生まれた。それが率直な印象です。
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◆ No.04/11
2008/08/05 ポッドキャスト!TOKYO FM
宮崎駿監督に2年半密着した男がれんが屋へ!
↑24分39秒の音声が聞けます
NHKプロフェッショナル仕事の流儀(2007.03.27放映、2008.08.05放映)で密着した荒川ディレクターが語っています。
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絵コンテが作品の後半に差し掛かりあの世のイメージが色濃くなってきた時、行き詰った宮崎監督が「鈴木さんから黒い粉が出ている」・・・と言い出し、スタッフの一人一人に確認しだした。あらぬ言動を始めた宮崎監督に、荒川ディレクターは小型カメラを回す手を止めてしまう。そして、彼の手にはジンマシンが・・・
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◆ No.05/11
読売新聞 ジブリをいっぱい/100人のジブリ
2008年7月23日 「ポニョ」はきっかけを与えてくれる映画
鈴木敏夫プロデューサーに聞く
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―― 一方で、中盤に登場する赤ん坊のシーンが解釈できずに困っています(笑)。母親に抱かれていながら、どうして不機嫌な顔をしているのか。
鈴木 : 現代に生まれ落ちるということは、ああいう表情になるということではないでしょうか。ポニョはその姿を見て、初めて自分のためでなく誰かのために行動を起こす。人間界でやっていく以上、常に宗介に頼りっぱなしというわけにはいきませんから、他者と関わることで社会性を手に入れるんです。
鈴木 : 当初、「ポニョ」にコピーは必要ないと思っていました。それが、さっきの赤ん坊のシーンについて宮さんと話している時に「生まれてこなければよかったって顔してますよね」と言ったら「そうなんだよ!」って。その反応を見て、ひっくり返したらコピーになるんじゃないかと思いました。宮さんに見せたら「そんなに立派な映画じゃないよ」と照れていたけどね。「出会えてよかった」ぐらいでいいんじゃないかって(笑)。
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◆ No.06/11
2008/12/12 号外ポッドキャスト!TOKYO FM
まだまだ上映中!『崖の上のポニョ』ヒットの秘密とは!?
↑24分01秒の音声が聞けます
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予告編を見た関係者から要望が出始めました。宣伝方法を変えろ、と。公開2ヶ月前くらいにはそれが露骨になって・・・。ボロクソに言われました。「鈴木さん、今回は無理だな。今度は絶対回収出来ないだろ」って。悔しかったですね、どんな事があってもヒットさせようと思いました。実は、前売り券も全然売れていなかったんですよ・・・
やっぱり、宮崎駿に対する信頼があるんですよ。 。。
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◆ No.07/11
2008/07/17 号外ポッドキャスト!TOKYO FM
独占インタビュー宮崎駿監督 ポニョのことば
↑21分27秒の音声が聞けます
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能登半島の地震で、自分の家が潰れた前でおじいちゃんが、「いや~ ぺっしゃんこになっちゃったよ あっはっは」と笑ってたんですよ。僕、好きだったですね、このおじいちゃんが。いや、そりゃ大変ですよ。大変に決まってますよ。でも、そういう方が好きですね。
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◆ No.08/11
ポッドキャスト TOKYO FM
監督・宮崎 駿が「ジブリ汗まみれ」に本格初出演!
↑37分42秒の音声が聞けます
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理屈やルールを 何も説明していないんですよ。何も説明しなくても 大事なことが伝わる作品を作りたかった。
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◆ No.09/11
Light in June
「ポニョ」インタビュー(宮崎駿) 2008-07-10
下記は7月9日付朝日新聞夕刊に載ったインタビュー記事をまとめた上記ブログからの一部抜粋です。宮崎駿がとても具体的に『崖の上のポニョ』について語っています。下記以外にも、とても興味深い内容が書いてあるので、ブログ本文を一読すると面白いです。
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リサ(宗介の母)に関しては親子というものを、自分がどう生きるのかも含めて、途上にいる人間にしたかったんです。
船で出会う赤ん坊を抱えた若夫婦の場面は、その後ポニョがちゃんと陸で生活していけるという担保のためにも、どうしても必要なシーンだった。
また海と陸は、この世とあの世とか生と死とか、いろんな言い方ができるが・・・本文を読む
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◆ No.10/11
折り返し点 1997~2008 (単行本)
宮崎 駿 (著)
7月に出版された本に、『崖の上のポニョ』の音楽を担当した「久石譲への音楽メモ」が収録されていました。立ち読みなので(^^;)うろ覚えですが、宮崎監督がそのメモの中でコンセプトを簡潔に表現していたので、下に記しておきます。他にも、宗介の試練とは何かとか、ポニョはこれから出会う男性によってどうとでも変わる存在とか、グランマンマーレはそのままフジモトの元で育った時のポニョの姿でもあるとか・・・色々な事が書いてありました。
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コウイチ30才 リサ25才 宗介5才
フジモト: 理想を追えば追うほど孤独になり、理想に裏切られる宿命を背負っている。
コウイチ: 気のイイ男だが、未だに大航海時代を夢見るロマンチスト。ロマンに逃げていて、陸にあがればリサでもウンザリするような男。
人の心が移ろい易い事を知っている現代人は、約束が守られないと思うかもしれない。宗介は、フジモトのように理想を求めるインテリになるのか、コウイチのように逃げ出すのか。宗介はそうならない。宗介は真の秀才であり、神童なのだ。リサの心を理解し、フジモトに心配りを見せ、ポニョをあるがまま受け入れる。普通なら分裂症かノイローゼにでもなりそうなのに、バランスを保てる強い心を持っている。だからこそ宗介には、主人公の資格があるのだ。
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◆ No.11/11
Hayao Miyazaki, Animated Film Director; (November 20,2008)
映画監督・宮崎駿氏 会見全文
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あんまり長く喋るのも苦手ですので、みなさんの質問をいただきたいと思いますが、ちょっと初めにお話しします。今度私たちが作ったポニョという作品は、実際にスタッフに子どもが生まれまして、その子どもを見ているうちに、その子が最初に観る映画として作ろうと、それを自分たちのモチベーションにしました。
いま、私たちの国は大変に潜在的な不安に満ちている社会でして、私たちの職場の中でもそれは同じです。つまり自分のかわいい子どもたちにどんな未来が待っているのか、ということについて非常に大きな不安を私たちは持っています。それから子どもをどういう風に育てればいいのか、ということについても大きな不安を持っています。
それで、映画を作りながらですね、私たちは(スタジオ)ジブリで働いている人たちのための保育園を作ってしまったんです。地方自治体から補助を貰いますと色々とややこしいことがくっついてきますので、好きなことをやるために全く企業負担でやることにしました。
部屋の中に階段があったり梯子があったり穴が空いていたり、伝統的な日本の畳や床の間や障子が入っているような不思議な建物です。居間には山や大きな石や、いかにもぶつかると痛そうな石の階段や砂の坂道や、それから落っこちそうな池があります。
今年の4月から始まったんですけれども、まあ、子供たちをそこに放つとですね。ハラハラドキドキ、もう鳥肌が立つような恐怖を感じるんですが、じつに子どもたちは環境を利用してですね、敏捷に、転がってもあまり泣きもしないで、池の中に入って遊び、木の実を拾って食べ、這いながら砂の坂道を登り、滑り降り、まあ本当に見事なもんです。
保育園を作った結果、私たちは子どもの未来を不安に思うよりも、子どもたちの持っている能力に感嘆する毎日になりました。
この国に立ち込めている不安や将来に対する悲観的な考え方は、じつは子どもたちにはまったく関係ないことなんですね。つまり、この国が一番やらなければならないことは、内部需要の拡大のときに、橋を作ったり道路を作ったりすることではなく、この子どもたちのための環境を整えることだ、常識的な教育論やそういうものではなくて、日本の政府が言っているようなくだらないことではなくてですね、ナショナリズムからも解放されて、もっと子供たちの能力を信じて、その力を引き出す努力を日本が内部需要の拡大としてやれば、この国はしっかりした国になると、いま確信しています。
実際に子どもたちを取り巻いている環境は、私たちのアニメションも含め、バーチャルなものだらけです。テレビもゲームも、それからメールも携帯も、あるいは漫画も。つまり、私たちがやっている仕事で子どもたちから力を奪い取っているんだと思います。これは僕らが抱えている大きな矛盾でして、その矛盾の中で「では何を創るのか」ということをいつも自分たちに問い続けながら、映画を作っています。
でも、同時に、そういう子ども時代に一本だけ忘れられない映画を持つということも、また子どもたちにとっては幸せな体験なのではないかと思って、この仕事を今後も続けていきたいと思っています。どうもありがとうございました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
◆ ◆ ◆
映画は公開されたら映画を観た人のものだから、観た人が何を感じるかは自由だ。そして映画自体を楽しむのに加えて、上記にリンクしたような批判的なコメント、インタビュー、由来などを知ると、映画に対する視野が広がって益々『映画』を楽しめる。![]()
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コメント
昨日ポニョ見てから
「宮崎駿監督 ポニョのことば」を聞いてみた
ジブリの社員旅行に訪れた場所で再びまた
一人で2ヶ月過ごした話が海岸や崖の風景が
浮かんでくるようでなかなか良かった
・・・疲れた神経を回復させるのには単純な一日の
生活を繰り返すことがいい
・・・そのような精神状況では空気が直に神経に触れて
風景が沁みこむようにとても綺麗にみえる
などの話がなるほどと思った
映画の中では
目のついた波に追われてリサが山道を走行するところが圧巻だったが
あの三角形のうろこ状の波は日本画的(北斎や広重的)できっと
海外の人々にはエキゾチックに映るんだろうなと思った
そうそう皮膚感覚と言えば監督のインタビューの中で
アニメーション自分の身体が覚えたことを思い出す作業
と言っていたが
皮膚感覚で楽しめるってことは重要だね^^
投稿: nono1 | 2008年7月20日 (日) 11時30分
>一人で2ヶ月過ごした話が海岸や崖の風景が・・・
日本の海岸や崖の風景に
あたしは優しげなイメージは無かったんだけど
映画では 水彩色鉛筆で描いたような
優しい風景になっていて目を惹かれた
光を描いた印象派の画家モネの風景を連想した
でもって 5歳の宗介の心象風景だと思った
彼にとって 世界は優しく輝いて見えるのだろう と
>・・・疲れた神経を回復させるのには・・・
>・・・そのような精神状況では空気が直に神経に触れて・・・
あたしも経験上 共感出来る
日常的な繰り返しにホッとし 物言わぬ風景に慰められる
それを実感する事って あるんだよね
>あの三角形のうろこ状の波は日本画的(北斎や広重的)で・・・
うんうん 同感!!!
でもって 実写じゃなくて アニメーションだから出来る
心象としての波の姿だなぁ と思った
ゴッホが描く夜空 のような
皮膚感覚で楽しめる ってすごく面白い
共感じゃなくて 体感なんだよね
投稿: さくらスイッチ | 2008年7月20日 (日) 17時36分
上記コメを書いたあと 夕食を作りながら ぼんやり考えた・・・
宮崎駿監督が 今作で手描きにこだわったのは なぜかを
以前読んだ本に
【印象派が登場した背景には、1800年代はじめに発明された写真技術によって、絵画の価値が“写実性”にはなくなった事もある。ただ当時の画家は、写真技術を絵画に対抗する存在とは見なさずに、逆にそれを絵画に生かしていた。】
みたいな事が書いてあった
宮崎駿監督も 同じ様な思いを抱いたんじゃないかな
CGの誕生と進歩によって リアルとはどういう事かを
再探求した結果なのではないかと
アニメーションならではの価値を 表現した映画が
『崖の上のポニョ』なのではないかと ^^
投稿: さくらスイッチ | 2008年7月20日 (日) 19時25分
デジタルと手書きということで
思い浮かぶのは オーディオの世界で
CDなどのデジタル音源と
レコードなのどのアナログ音源の
比較の話
アナログ音源は温かい
人間の温もりを感じる
などと言われる
デジタルは1と0の世界
ある事と無い事の信号
アナログの特徴は境界性の無さだ
在る事と無い事の境界は
アキレスの亀のように論理では
極めて証明納得しづらいが
人間の感覚は直感的に真実を判断する事が
出来るように
アナログという表現方法の優位性は
人間感覚に対してはやはりあるという事で
彼は現在ではまだデジタルが成し得ない
領域があると思い表現方法としては手書き
にこだわったのではないか
*****
リアルとは受け手の心というメディアに
とって受け止められた心象の事
投稿: nono1 | 2008年7月20日 (日) 20時05分
>アナログの特徴は境界性の無さだ
>リアルとは受け手の心というメディアにとって受け止められた心象の事
すごく しっくりくる言葉!
投稿: さくらスイッチ | 2008年7月20日 (日) 21時15分
ぼくもポニョが好きです。
まだ映画を見てないんで早くみにいきたいですね(A;
投稿: 勇気 | 2008年7月24日 (木) 17時07分
★勇気さん、コメントありがとうございます。
早まってはいけない ^^
ポニョを見てから ポニョを好きになって下さい
勇気さんの好みに合わない可能性も・・・
投稿: さくらスイッチ | 2008年7月24日 (木) 21時52分