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2008年10月19日 (日)

370: サルバドールの朝

僕らに選択は二つしかなかった

目を背け沈黙するか 行動を起こすかだ

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原題 : Salvador

監督 : マヌエル・ウエルガ
原作 : フランセスク・エスクリバノ
脚本 : ユイス・アルカラーソ
音楽 : ルイス・リャック
美術 : アントン・ゴメス
衣装 : マリーア・ジル
メイクアップ : カイトリン・アチェソン

キャスト : ダニエル・ブリュール レオノール・ワトリング レオナルド・スバラグリア

制作 : 2006 スペイン
上映時間 : 135分
日本公開 : 2007年9月22日~
後援 : スペイン大使館

1970年代初頭、スペイン。長く続いていたフランコの独裁政権に、自由を求める多くの人がようやく反対の声を上げ始めた。サルバドール・プッチ・アンティックは、明るくユーモアにあふれ、聡明な青年。同じ大学に通うクカに心を奪われるのだが、彼は、友人の誘いに躊躇しながらも、やがて反体制運動に没入していく・・・・・

IMDb★★★★★★★☆☆☆ UserRating:7.3/10 (891 votes)

YAHOO!JAPAN 映画
★★★☆ 3.88点/40人
映画生活
★★★☆ 67点/29人

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今から30数年前のスペイン、フランコの独裁政権末期に実在した人物の話、ということで興味を惹かれて見てみた。(一応、時代背景をザッと予習してから見た。)

悲惨な状況にカッコイイ映像や音楽を組み合わせたりしてあり、客観的な状況だけでなく登場人物の軽薄で深刻な心情が凄くリアルに感じられた。と同時に、たった30数年前の出来事なんだということが、実感として伝わってきた。

サルバドールの弁護士の「外がどれほどの騒ぎか知っているか? 記者会見を開いて、ヨーロッパ中に君のことを知ってもらおう。欧州経済共同体欧州共同体の前身)への加盟を控えているんだ、死刑なんて無理だ、出来るわけが無いだろう。」という言葉は、当事の時代を反映していて、とても印象に残った。

映画の終り方が好かった。ただ、この映画に描かれた時代の後にスペインがどう変わったかを知っているか知らないかで、映画の印象はずいぶん違ってくるだろうなぁ~。

以下、ネタバレ有り。Salvador01

スペインのフランコ政権は、その成立時にファシズム体制だったドイツやイタリアの支援を受けている。第二次世界大戦でドイツ、イタリアは敗戦し、ファシズム体制は崩壊したが、中立を保ち戦禍を免れたスペインは、大戦後もフランコの独裁政権が存続していた。サルバドールが生きた60年代から70年代は反政府運動が盛んで、政府の弾圧も激しかった。

1974年3月2日に2人に対して2箇所で死刑が執行されたのがスペイン最後の死刑執行であり、その1人がサルバドールだ。

サルバドールが処刑された翌年1975年に独裁者フランコが亡くなり、スペインは急速に西欧型の議会制民主主義および立憲君主制国家への転換を図る。1978年には新憲法が承認され、立憲君主制に移行すると同時に死刑制度が廃止されている。その速やかな移行は、その順調さから「スペインの奇跡」と呼ばれた。 。。1986年には欧州共同体(EUの前身)に加盟も果たしている。

・・・・・そんな事を可能にするエネルギー源の一つにサルバドールの事件があったんだsign01、スペイン人の内面が変わったから現実が変わったんだsign03、と思わせる終り方だった。

..............................

僕らに選択は二つしかなかった
目を背け沈黙するか 行動を起こすかだ

政治が僕らの人生となった
ただ独裁に反対するだけでなく すべてを変えたかった
古い制度を壊し 階級のない社会を作り
本当の自由を得る
でも言葉だけでは何も達成できない

「君は銃を持った事があるか? 最初はすごく重い・・・」

..... ..... ..... ..... .....

でも サルバドールの望みは叶いつつあります
様々な出来事で 政治に対する意識は高まりました
この国は大きく変わったのです

..............................

マヌエル・ウエルガ監督(1957年スペイン、バルセロナ生まれ)のコメント

Manuel_huerga 映画として扱われることは稀であった、近代スペイン史におけるフランコ政権末期の厳密な記録から、実際の出来事に基づいて制作を行った。人の存在価値を問うこの映画のテーマは、社会学的背景を取り戻すことであり、さまざまな社会グループの幅広い視点に裏打ちされた集団記憶、また、その時代を生きた世代と若い世代の両方に訴える。彼らは登場人物に共感し、誰かに用意された人生よりもましな生き方を望むこと、不正や凡庸、大勢順応主義に対して、持てる力を出し切って戦うことに意義を持ち、それを渇望した反逆者たちのことを理解するだろう。

サルバドール・プッチ・アンティック(Salvador Puig Antich 1948-1974)

Salvador_puig_antich_3 バルセロナ生まれのカタルーニャ人無政府主義者。1960年代に主に活動する。軍事裁判にかけられた後、治安警察官殺害で有罪判決を受け、スペイン国家当局により死刑に処せられた。彼はスペインで最後に死刑を執行された2人のうちの1人である。

家族は中産階級で、サルバドールは6人兄弟の3番目として生まれた。

父親のホアキムは、第二共和制時代にアクシオ・カタラの過激派で、カタルーニャ政治運動家であった。フランスのアーゲル難民キャンプに亡命していたが、スペインに戻った後、死刑判決を受けながらも、最後には恩赦された過去を持つ。Salvador03

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コメント

今、この映画を見ました。
私がのんきな高校生だった頃、スペインではまだファシズム体制だったということを知りませんでした。
そして、あんな惨たらしい死刑が実行されたことに驚かされました。
冤罪であったかどうかよりも、第二次世界大戦が終わって長い年月がたったヨーロッパでまだこんなことがあったことがすごくショックでした。
この映画紹介のページに来て、その頃のことが少し分かり勉強になりました。
忘れえぬ映画になりそうです。

投稿: さとやん | 2008年11月13日 (木) 12時10分

★さとやんさん コメントありがとうございます

ちゃんとした裁判を受けることなく死刑が確定したサルバドール
権力が分立していないファシズム下で裁かれる恐さ・・・

EUの加盟条件に死刑廃止があるその背景には 過去
ヨーロッパで際立っていたファシズムの影響もあるのかな

なんて思ったりしました
映画ってホント 色々なことを感じさせてくれますよね

投稿: さくらスイッチ | 2008年11月13日 (木) 20時13分

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