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2009年12月20日 (日)

464: キリクと魔女

「どうして魔女のカラバは意地悪なの?」

小さなキリクの 大きな好奇心が 世界を変える

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原題: Kirikou et la sorcière

脚本・監督・原作: ミッシェル・オスロ
製作: ディディエ・ビュルネール / ジャック・ヴェークリュイセン=ワチャ / ポール・ティルゲス
翻訳: 高畑勲(徳間書店刊)
美術: アンヌ=リズ・コレール / チエリ・ミリオン
音楽: ユッスー・ンドゥール
日本語吹替版翻訳・演出: 高畑勲
キャスト(声の出演): ドドゥ・ゲイエチャ アウ・セヌザー マイモウナ・エヌジャイエ ロベール・リンソル マリー=オーギュスティーヌ・ディエッタ ウィリアム・ナディラン=ヨツンダ セバスチャン・エブラン チロンボ・ルバンブ
(日本語吹替版): 浅野温子 神木隆之介

製作: 1998年 フランス
上映時間: 1時間11分

キリクが生まれたアフリカの村は、魔女カラバの呪いにかけられていた。泉の水は涸れ、魔女に戦いを挑んだ男たちは逆に食べられてしまっていた。「どうして魔女カラバは意地悪なの?」好奇心いっぱいのキリクは、賢者が住む“禁じられたお山”へ旅に出る。シネマトゥデイ

IMDb★★★★★★★★  7.8/10 11,763votes
YAHOO! MOVIES The Critics: -  Yahoo! Users: C+ 28ratings
YAHOO!JAPAN 映画★★★★☆ 4.63点/38人
映画生活★★★☆ 75点/42人

◆◆◆さくら 73点 レンタルDVD

絵の美しさでは『アズールとアスマール』に及ばないが、音の出る絵本といった雰囲気で、こちらも味わいのある絵柄と色彩で楽しかった。単純な善vs悪になっていないのもイイ。

以下、絵バレ m(_ _)m01_7

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以下、公式HPより ・・・微妙にネタバレあり

◆アフリカはミッシェル・オスロ監督の原点

原作・脚本・監督は、これが初めての長編作品になるミッシェル・オスロ。彼は幼少時代をギニアで過ごし、そこでの強烈な体験が、『キリクと魔女』を作る大きな動機になっている。アフリカは彼の原点でもあり、長年あたためてきた念願のテーマでもあった。監督の意図は多くの賛同者を得、サウンド・トラックにはあのユッスー・ンドゥールも参加した。また、彼は日本文化をこよなく愛する人物でもあり、若い頃、日本に滞在し、墨絵を描き、葛飾北斎の絵の心酔者でもある。『キリクと魔女』の映像に、どこか親しみを感じるのはそのせいかもしれない。

◆「どうして悪玉は意地悪なの?」

・・・わたしの主人公が、小さかった頃わたしがした質問をするだけでじゅうぶんだったのです。それは昔話のなかでは決してなされない質問です。

「どうして悪玉メシャンは意地悪メシャンなの?」

すべてはこれでごく自然につながっていきました。母親のひかえめな存在、魔女の美しさ、ほかの多くの人たちのように恥ずべき男たちによって虐待されたカラバのドラマ、トゲの苦痛、祖父の英知、フェティシュの秘密、ゆるし、魔法のキス、そして死のかわりに、愛... 。

(ミッシェル・オスロ『キリクと魔女』原作本あとがきより)

◆キリクは自らの手で真実を得る

私はキリクと魔女を対照的なものとして表わしている。キリクは小さく、衣服も身につけていない。一方、カラバは魔女。宝石をまとい、悪意と権力に満ちた優美な存在だ。

キリクが全編を通して疑問に思うこと――「どうして魔女カラバは意地悪なの?」それが物語の中心となっている。大人はこの疑問に対しての答えを持っているが、子供は違う。しかし、子供であるキリクは自らの手で真実を得る。彼はオリジナルの物語の中では、カラバを殺すという、単純な答えの出し方をしない。もうひとつの中心は、「魔女」を恐れぬ者は、自分の目標に到達することができる、ということだ。おまじないや迷信などを信じず、直面した問題に自ら立ち向かうこと。私のヒーローたちはみんな自立しているのだ。キリク、キリクの母親、彼の祖父、そしてカラバ……。

もうひとつのテーマも、自然と伴ってきた。アフリカらしい課題、家族や部落の大切さ、肉体の調和、そして世界的テーマともいえる戦争や性(魔女カラバは美しい女性であり、男達と戦いを繰り広げる)、利他主義、賢さ、赦しあうこと、時間の流れ、そして愛。それは、男と女の愛、もちろん母と子の愛。民俗学などは関係しないものなのだ。

◆アフリカ色を出すための工夫

アフリカを映像としてどのように表現するか、それが問題だった。アフリカには彫刻や装飾系などの芸術が古くからの伝統として存在する反面、肖像的、また人物が題材となったアートが少ない。

私は背景のデザインにおいては、アンリ・ルソーからインスピレーションを受けた。

人物を描くにおいては、エジプトのアートのようにシンプルで、美しい人々を、美しく描きたいと思った。また、呪い鬼たちや置き物、偶像は、Art Negre(黒人芸術)から直接影響を受けた。呪い鬼たちに関しては、参考にする物の選択肢は充分あった。

色使いにおいては、子供時代の鮮明な思い出からヒントを得た。オークル色の村々、黄色いサヴァンナ、エメラルド色の森、緑の河、魔女の住む灰色の家、お祭りにいる虹色の民衆。

自然の流れか、音楽もアフリカのミュージシャンたちによって作られた。これはアフリカの物語であり、アフリカはその音楽で世界に印象をつけている。我々はユッスー・ンドゥ―ル氏という、海外的な知名度がありながらもいまだにダカールに住み、レコーディング活動をしているミュージシャンにサウンドトラックを手掛けてもらった。実は、私は彼に更なるアフリカ色を出した音楽作りと伝統的な楽器を特別に使用して欲しいと頼んだ。そして声のレコーディングには、アフリカ(セネガル)人の俳優たちを起用した。森や茂みに住む村人達の声を、ヨーロッパ調の声にしたくはなかったのだ。

◆ミシェル・オスロ 談

Img_ocelet 若い頃から日本の美術に興味があり、独学でかなりの数の墨絵を描いていましたがいずれも失敗に終わりました。というのも墨絵には浸透性がある特別な紙が必要だということさえ知らなかったからです。

1970年に初めて日本に滞在したとき、私は早速墨絵教室に通い、そこで正しい筆と墨、紙に出会ったのです。それは私にとって至福の喜びでした。当然のごとく生け花教室にも参加しました。できるだけ日本人のようになろうと努力を重ねていたのです。

また同じ頃北斎漫画にも出会い、それ以来心酔しています。彼の作品には生き生きとした人々の姿、情熱、戯れ、そして美が溢れています。私は彼が自ら名づけた別名"画狂老人"が好きです。北斎は私に絵画への情熱と活力を与えてくれた師匠の一人で、ずっと後になって私は日本の物語や詩、美術を取り入れた"Le Manteau de La Vieille Dame"(「老女のコート」)という日本についての10分ほどの短編を制作しました。(註:北斎の「赤富士」などの浮世絵が取り入れられている。)

私のキャリアは大変厳しいものでした。私が作りたいと思う作品は短編でしか実現せず、まただんだん周囲に認められるようになって映画祭などで賞も取るようになっても貧しく、仕事がない時期が長く続きました。

『キリクと魔女』によって私の人生は変わったのです。始めは誰もハリウッド製ではないアニメーション映画に興味を示しませんでした。でも少しずつ口コミで評判が伝わり、フランス国内だけでなく海外でも大成功を収めたのです。『キリクと魔女』がアニメーションの国、日本で公開されることで、この成功も最高潮に達することになります。また私が長年尊敬している高畑勲さんが、私の脚本を翻訳し日本語版の監督をしてくださることは、私にとってまさにおとぎ話のような信じられない喜びです。

新作に取り掛かろうと思っています。テーマは中世を舞台にした、移民や南北問題、貧富の差、宗教そしてイスラム文明などになります。多少議論を巻き起こしそうなテーマではありますが、世界規模の大企業にはない創造の自由が私にはありますので、万人のためのおとぎ話を作ることができると確信しています。

◆「キリク」の歌

「キリク」 翻訳:高畑 勲

村の中から、水と男たちが消えていた
女たちは泣いてた、震えた、魔女のまえ
分かったのはキリクだけ、どこで祖父に会えるのか
友だちキリクが取り戻してくれた、ぼくらのくらし。

キリクは大きくない、けれども勇敢、雄々しいよ
キリクは小さい、けれどもぼくの友だちだ。

火炎樹並木の道の上
カラバの屋形の高みから
小鬼が村を見張ってる
キリクはたずねる、どうしてカラバは意地悪なのか
友だちキリクが取り戻してくれた、ぼくらのいのち。

キリクは大きくない、けれども勇敢、雄々しいよ
キリクは小さい、けれどもぼくの友だちだ。

 

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